父の不在と女性の依存

 

ひがしすみだカウンセリングルームです。
今日は、ケネディの妻を題材に女性の依存の問題について考えます。

ケネディの妻ジャクリーン

ケネディの妻ジャクリーンは離婚家庭の出身でした。家計は厳しく、父親を悪しざまに罵る陰鬱な家庭でした。彼女の唯一の楽しみは父との面会交流の日で、存分にわがままをいい、普段手に入らないものを買い与えられ、可愛がられました。しかし、家に帰れば父はおらず、陰鬱な日々が待っていました。

経済的苦境と父の不在によって、父親的な満足を得られなかった彼女は、フランス貴族の末裔という触れ込みから10も年上のケネディと出会い結婚することになります。ケネディは大統領を嘱望された、父のように頼れる男性であり、資産家でもありました。彼女は求めていたものを手に入れた。

しかし、ケネディとの結婚は不毛でした。ケネディはクリントン以上のセックス依存があり、彼女はただの社交上のお飾りを求められました。夫に裏切られ、これ以上ない虚しさを覚えた彼女は浪費に走ります。そしてケネディ暗殺後、彼女はやはり父親ほども年の離れた富豪のオナシスと結婚します。

オナシスとの再婚

オナシスは非常に高齢で、もはや夫婦生活と呼べるようなものはなく、年に数日居をともにする以外は同居を拒否し、莫大な額のお金を月々要求しました。彼女の浪費癖は虚しさを埋めるものだったのでしょうが、その空虚さが埋まることはありませんでした。

オナシスが亡くなったあと、NYで独居し精神分析を受けたそうです。内容の仔細については存じ上げませんが、晩年彼女は彼女は一度志した、記者の道を歩もうとしていたと聞きます。自らを取り戻し、主体的に社会との接点を得ようとしていたのでしょう。

かのダイアナ妃もまた、離婚家庭に育ち、不遇の幼少期を過ごし、やはり年上のチャールズと結婚し、栄華を極めたように見えますが、ドイツ王室の人間でない彼女は、王室では冷遇され、やはり依存の問題に走っていきます。チャールズとの離婚後彼女もまた、富豪と浮名を流すわけですが、このままではいけないと、地雷根絶キャンペーンなど子ども支援に注力していったことはご存じのとおりです。

父の不在と経済的困窮

 このように、彼女の父親不在と経済的困窮の問題は、後年になるまで影響を及ぼしていたことがわかるのではないでしょうか。理想化できる父親を求めて彼女は様々な年上の(つまり父親的な)資産家と関わります。この場合の富は、理想的な父親がもたらす庇護の象徴であったかのようです。

情緒的に父親に満たされることがなかったのでしょうか、富こそが頼れる父親イメージの象徴であったのです。が、父親理想は満たされず、浪費によって虚ろな自己を支え続けた。しかし、資産家の夫は、彼女らの浪費で衝突するくらいなら、お金を出した方がましだと思ったのでしょう。それを黙認していたのだろうと思います。

彼女らの抱える底なしの空虚感を、莫大な資産が支えたのだ、と言えるのかもしれません。

結局そこには情緒的な交流は生まれず、空虚さは続いていたものと思われます。彼女らはお金を浪費し続け、満たされることがなかった。毒親といってよく母子関係の問題が話題になることがありますが、父親がもたらす情緒的・経済的基盤は、満足や虚しさの病理と強く関わっているのかもしれません。

女性における父不在もまた深刻な問題であり、依存の問題につながることもあるのかもなあと思う次第です。

 

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2018年07月27日