孤立を避けるために―オリヅルラン式の関係性回復

 

孤立の問題は非常に厄介な問題です。

ロスジェネ世代が、非正規であったり職を転々とせざるを得なくて、キャリア形成できずに、中堅として詰んで事例化することもあれば、職業アイデンティティが形成できなくて苦しんでいる事例もあるし、そのうえ親世代の「あがり幻想」に苦しめられている事例も多かったりもする。

ロスジェネ世代に限らず、順調に職業的成功を収めた高齢世代が、定年退職した後に、地域に戻っては見たものの、地縁がまったくないことで、引きこもってしまうと言った事例も見聞きします。こういった孤独の問題に臨み、面接という時間・空間を提供することで、孤立を回避し、社会との接点を回復していくことはある程度見込めることもありますが、セラピーの限界を感じることがあります。

もちろん、そうした接点の回復にあたって、ひとりで考えるより二人で考えることでよい知恵が浮かんでくることだってあるし、自分の状態がどうなっているのか、どこに無理があるのか、そういうことを考えていくお手伝いというのが、カウンセリングのお仕事の第一歩なんだろうと思っています。
お仕事を斡旋することができないのですが、繋がり方を模索するということです。

社会的つながりの回復の手がかり

社会的つながりや社会参加を果たす最も効率的な方法というのは、やはり、はたらくということなのだろうと思いますが、そうも簡単に行かないものです。このとき怖いことは、おそらく孤立をしてしまうことだと思います。別に仕事である必要はありません。どなたかと、何らかの形でつながっていることは、人の精神衛生をとても左右します。

『世に棲む患者』という本で、精神科医の中井久夫先生の示した図は、社会との接点や関係性の回復について、大きな示唆を与えてくれます。中井はこれをオリズルランに見立てて、説明をしています。

 

この図からわかることは、直線的な回復よりも、一間離れた点と点が、子根となって、さらに小さなネットワークそぽつりぽつりと作りながら、結果的にそれが、ひとを支えていくということはないでしょうか。目に見える直接的な居場所で恋対人関係を作るばかりでなく、分散した場所で、ポツポツとお互いに干渉しあわないけど存在できるような場所を持つこと、そういったことが回復を助けたり、自身の居場所感を高めていくことにつながるのではないかと思います。

親友や、友だちのような濃密な人間関係を求めたくなることもありますが、時にそういった関係は煩わしくなることもあるでしょう。繋がりのない点を多く持つことは、ひとつに集約させないことで、その負荷を分散することにもなりますが、場の性質にグラデーションを持つことにもつながるのが、重要なのではないかと思っています。例えば、しっかり存在を認知される場であったり、ほうっておいてほしいときに放っておいてもらえる場であったりするわけですが、それを今の調子に合わせて選ぶことができるという点がいいんじゃないか。

そういう幅があるって、案外大切なことなんじゃないかと思うのです。

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2021年02月27日