青年期の神経発達症(発達障碍)の二次障碍とその支援

 

ひがしすみだカウンセリングルームです。
今日は、青年期の神経発達症の二次障碍とその支援について考えます。

神経発達症者の二次障碍による青年期の躓き

青年期における軽度な神経発達症の二次障碍の問題は、一次的障碍による困難加えて、発達年齢相応の環境的圧力が混ざり合い、多様な経過と状態像を呈するものです。軽度・高機能の神経発達症は、その能力の故、一見して、一次的障碍に伴って生ずる問題の輪郭が見えにくく、日常生活の支障、自己評価の低下、周囲からの誤解、孤立化などの問題を抱えることが多くあります。一次的障碍と、発達年齢相応の環境的圧力のミスマッチは、周囲との軋轢を生む悪循環となり、青春期に求められる自己愛の成熟を困難にします。自己の凝集性の低下、アイデンティティ拡散の問題につながりやく、青年期においては、社会的自立を前に恐怖を感じ、退行的になる事例にしばしば出会います。彼らの多くは、青年期的な危機を乗り越えるための、健全な自己愛発達が阻害されており、こうした問題群に対する支援の必要です。

エンパワメントの視点

 こうした問題群の支援において、私は、エンパワメントの視点が有用なのではないかと考えています。 ラパポートは、エンパワメントを「プロセスであり、「人々、組織、コミュニティが生活を習得する仕組み」と定義しています。困難に対する枠組みをパターナルに与えるのではなく、彼らが有する技能などを現実世界に適合させることで、おのずと能力を発揮していくことを支援する発想です。近年では、保健、医療、福祉、教育などの分野にも広がりを見せる概念です。
 障害や困難に覆われて見えにくくとも、彼らは何らかの資源を持っており、それを引き出し、拡大していくことが、力動的な側面だけでなく、行動的側面からも支援の貴重な足場になりうるのではないかと考えるからです。こうした資源はクライエントの中で機能している自己愛領域とも言い換えていいと思いますが、この領域をエンパワメントすることは、二次障碍を抱えるクライエントの自己愛発達支援には欠かせないのではないでしょうか。 言語だけでアプローチすることは難しいこともありますが、その影に隠れている、別の表現を通じてコミュニケートする精神療法的関わりは、そのプロセスを促進し、自己統合や、自己愛凝集性を高める支援に繋がるひとつの方法ではないかと考えられます。

自己愛の修復作戦と手を結ぶ

 軽度神経発達症者の二次障碍の問題は、日常生活や青年期における自立の時期に、大きな影を落とすことがしばしば見受けられます。ときには、自己破壊的な衝動を伴って、不適応となり、退却的になることも少なくありません。神経心理学的な問題がわかりにくいが故に、家族や周囲から理解されず、自己愛を充足することが難しくなっている事例を散見します。しかし、彼らはただ無力なわけではありませんし、その欠乏を埋め合わせるべく、何かで補おうとしていることも少なくありません。我々はそういった彼らのささやかだけど健康な自己の修復作戦を有効に活用し、エンパワーすることで、自己愛の成熟を支援することができるのではないかと、いくつかの経験の中から感じています。

 

 

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2018年11月29日