職場不適応とストレス

ひがしすみだカウンセリングルームです。
今日は職場のストレスの話。

ストレスは成長のもとでもある

 ストレスというと一般に「よくないもの」と理解されがちですが、必ずしもそうとは限りません。ストレスとは自分にかかる負荷のことをいいます。負荷は苦しいものではありますが、乗り越えることで達成感を感じたり、成長につながるものでもあります。

しかし、中にはその人に乗り越えることが困難なものもああって、乗り越えられないストレスに晒され続けると、無力感や自己無価値感が強まってしまい、疲れ果て、身体が動かず、思考も回らなくなってしまいます。

なにがストレスになるのか

心理学者のラザルスは、人間は困難に直面したときに、対処可能かどうかを判断し(評価)、「自分には対処できない」と認知したものストレスであるとし、その結果ストレス反応が生じるとしました。

このとき、ストレスの要因となるものをストレッサーと呼びますが、ストレスと感じるものが人によって異なるのはこのためです。また、この「ストレスの捉え方」はその人の生活背景や、社会的な援助がどれくらい受けられていると感じるかが、ストレスの強さに影響します。この意味ではストレスはその人の捉え方次第のように見えますが、その人に対処可能なストレッサーかどうかがむしろ重要です。

たとえば過労や超過勤務などは大きなストレスとなり、その場合は、環境を変えることがストレス軽減につながります。ストレスの問題は、環境を調整したうえで、自分のとらえ方を見直してみる作業が必要になってきます。しんどい時はこれまでのやり方を見直すチャンスでもあります。

ストレッサーの大きな要因

ストレッサーの大きな原因は、

①人間関係
②環境と適正のミスマッチ
③過労

です。

もっとも多いのが人間関係についての悩みです。上司との折り合いが悪かったり、仕事でミスして怒られたり、異動に伴う人間関係の再構築といった負担がストレスとして溜まり、職場不適応を起こします。何か困ったり迷ったりすることがあってもすぐに相談が出来なかったり、「つまらない悩み」と一周されてしまうのでは、相談はできません。なかには、人に相談することをとても恥ずかしいことだと思う人もいますし、相談をしようとして、「なぜそんなことをきくのか」と言われ、相談しにくい雰囲気が出来てしまいます。

事 例

事例1 適正がないと思い悩むが誰にも相談出来ない
代表的な不適応症は、適性の乏しさです。特に新任の場合まだ経験が浅く、能力が職種と合っていないことが多いため、仕事に行き詰ってしまうことになります。 慣れない仕事に強い苦手感を覚え、そのことを何度も思い悩み、ネットワークもないため誰にも相談出来ず、ひとりで思い悩むうちに、自分が出来ない人間であると思い込み、抑うつ的になってしまう。

事例2 社会に出て理想と現実のギャップに打ちのめされてしまう
 現実の仕事にはつらい面や面倒なことも沢山あります。理想と現実との間に不一致があると、そういった現実に直面して「できるとおもっていた」自分のイメージが強く傷いてしまい、現実に嫌気がさしてしまうこともあります。この不一致を修正できないことでつらくなってしまうのです。

理想と現実の不一致は例えばこのようなものです。

理 想

 職場は明るくて楽しいところ
 自分のやる気と情熱があれば、どんな仕事でもこなせるようになる!
 仕事で得た給料で仲間と飲みに行ったり、自由に買い物をしたい!

現 実

 自分の適性がないのか、思うように仕事の成績が上がらない
 仕事でミスをして上司に怒られた
 日々の生活で精いっぱい
 仲間や上司との人間関係がうまくいかない

ストレスと自己肯定感の関係

誰もが自負心をもって前向きに挑戦し、達成することで満たされます。その自負心は、毛公的な自己愛といって誰しもが持っているものです。成長したいという気持ちが仕事への熱意となります。しかし、プライドが傷つけられてしまえば、働きがいを失ってしまいます。上司にマイナスの評価を受け続けて、自己愛が損なわれて、劣等感を感じ、ひどく落ち込んでしまうこともあります。

損なわれた自己愛は、時に過大になって、「自分を評価しない他人はダメだ」となったり、過小となって「人に評価されない自分はダメだ」と歪んでしまうこともあるのです。これは、自分が評価されるべきという理想を持っている点では共通した気持ちで、評価されない怒りが、自分に向くか、他人に向くかの違いでしかないのですが、それを受け止められないことで、自己愛がゆがんでしまうといえます。では、どうしたらいいのでしょうか。

職場で出来ること

ストレス認知には環境や適正、人間関係のほか、家庭や生い立ち、様々な背景があります。まずは「どうしたの?」と冷静に「今、不満に思っていること」や「心配していること」を聞くことです。この段階で、「今の不満や心配をどうすれば解消できるか」を問い正してしまったり、「現状を受け入れること!」「我慢も大事!」など、べき論はかえって逆効果です。

むしろ、相手の思いを聞くことに止めて、「話を聞いてもらえる」安心感を醸成することが先決です。その上で不安や心配に思っていることは具体的にどんなことで、なぜ不安に思うのか、どうすればそれを克服したり、解決したりでそうか、考えを聞きます。その場ですぱっと答えが出てくるものではないですが、本人も自分なりに考えることが重要です。

ポイント

ストレス反応に対してはまずは休息・負荷軽減が必要です。まずは申し出(相談)ることからはじめて、それに応じた仕事内容の更や、仕事量を減らすどの対策が必要です。ひとりで抱え込んでも良い考えが浮かぶものでもありません。まずは相談。ひとりで抱え込んでしまえば孤立がちになってしまいます。

また、上司からは積極的に声をかけて、新人が相談しやすい環境をつくることが大切です。「困ったことがあったら必ず相談に来なさい」という一言があるだけでも、上司と部下の関係はよくなるものです。

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2017年12月23日